「丁半も知らん唐変木」(『ヒプノシスマイク』推しどころ①)

Creepy Nutsが好きだ。オールナイトニッポンも毎週聞いているが(リアルタイムはきついのでラジコでアーカイブを聞いてます)、少し前に表題の名前を聞いた。「はて?」とは思っていたのだが、ふたりが楽曲提供をしたということで、youtubeで聞いてみた。

結果ドハマりということで、世の中的にも人気コンテンツということで私も推してみようと思う(なおあまりラップについての造詣は深くないので、そこのところはご勘弁を)。

 

ヒプノシスマイク』とは

ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』は、キングレコードレーベルEVIL LINE RECORDSが手掛ける男性声優18人による音楽原作キャラクターラッププロジェクト。通称「ヒプマイ」。 当初は4チームで12人だったが、2019年9月7日・8日に開催された4th LIVEにてメインキャラクターが18人となり合計6チームとなった。

キャラクターデザインはアイディアファクトリーオトメイト、キャラクターデザイン原案と公式イラストをオトメイト所属のイラストレータ一為(Kazui)が担当。シナリオは百瀬祐一郎が担当している

wikipediaより

 です。

ディビジョンごと(現在イケブクロ・シンジュク・ヨコハマ・シブヤ・ナゴヤ・オオサカの6ディビジョン)に分かれ、それぞれのチームで曲を出したり、チーム間でラップバトルを行ってたりします。

 

 『ヒプノシスマイク』推しどころ①

 とにかくキャラクターごとのライムが個性豊かで面白い。

合計18人のキャラクターは、ヤクザ・会社員・ギャンブラー・僧侶などなど様々。彼らが歌うライムもその職業にまつわる単語などが使われているのだが、それがライムをすごく個性的で魅力的にしている。

聞いていただければすぐわかるが、同じことを伝えるのにも表現方がそれぞれ異なって面白い。見事なリリックに出会ったときの感触を言い表すなら、「一本取られた」というのが一番近い気がする。

表題の「丁半も知らん唐変木」などもギャンブラーである有栖川帝統(アリスガワダイス)の歌詞だ。


ヒプノシスマイク Division All Stars 「ヒプノシスマイク -Alternative Rap Battle-」

この曲の中で好きなのはギャンブラーの帝統と会社員の独歩のリリック。以下に取り上げる。

 

【有栖川帝統】

おい おい おい go humble
おい あんちゃん go gamble
丁半も知らん唐変木
チンチロならションベンだぜ
マジ勘弁テンション下げ
まず1勝 次は本気で来いよ once again
今日の賭場はラップゲーム
ショバ代を払っとけ
Dead or Alive 降りんならとっとと払えよ
Zionだろうが Babylonだろうが
財を成そうが 滅びようが 要は賭け(Bet)だろうが

冒頭のリリックでやられた。「go humble」「go gamble」「丁半も」「唐変木」でこれでもか、というくらいの押韻。私のような初心者には聞きやすい。野津山幸宏さんの若干のハスキーボイスもぴったり合っている。というか上手いな。

 

【観音坂独歩】

死に敵う救済なんてシニカルな冗談
商談相手にいつだって媚び諂ってshit damn
疾患寸前ぐらいなら失敗なんてノーカン
儲かっても無いけど まだ食えてるならいいか
一回や二回じゃ覚えられないルーティンワーク
雨天決行する結構なハードワーク
営業トークで隠された封印解く
日本刀のごとく突き刺す 深く 深く 深く

個性ある職業のキャラクターの中で、「会社員」の独歩は、逆に特徴的。特に好きなのは後半の「トーク」「解く」「刀のごとく」、さらに最後の「深く深く深く」。「鬱くしい」っていう言葉があるそうだが、まさにそれ。独歩のメンタリティから出る歌詞には、共感する人も多いのではないか。

 

ラップは個人的には伝えたいことを「どう伝えるか」を楽しむ文化でもあると思う。そのひとつが押韻、という方法なのではないか。それを踏まえると本作品でかまされる数々のリリックは本当に多様で、特徴的で、キャッチーである。

日本語って表意性が強いから、ラップとかに不向きな言語なのかなとも思ったりもするが、こう使えばこういうリズムができるのか、という発見も面白い。日本語ラップ文化に今まで入り込めなかった人は(私)、この作品から入ってみるのもいいのかもしれない。

 

というわけでヒプマイに関する文章は今後も書いていきたいと思うので、表題も①とした。私が面白いと感じたところを書いていきたい。またストーリーに関してはいろいろな考察がSNS上などにあるので、ご覧ください。これも非常に面白い。